ふたり

ジブリに関するドキュメンタリー番組は今までいくつか放映されてきた。
当初は描写に対するこだわりの深さに圧倒されたりもしたが、最近は当初の感動は少々薄れ、描画の事以上に人間関係の方に面白みを感じるようになった。
アリエッティの時のまろさん(米林監督)の背景などはほほえましいものでした。
先日、NHKで「コクリコ坂・父と子の300日戦争」と題した番組があった。
ゲド戦記の時も親子の葛藤が描かれて興味深かったが、今回はさらに面白い内容だった。
父がアニメの世界に入った頃、息子の吾朗が生まれ、子どもの姿を何枚もスケッチする父の姿。
息子と過す時間はかけがえのないものだったが、仕事が忙しくなり、次第にその時間は奪われて行った。
父は息子と過せなくなった時間の穴埋めをするかのように「息子を楽しませたいアニメを作った」と語る。
ゲド戦記」の巷の評価は芳しくはなかったが、私は未熟さを備えた新鮮さが好ましく思えました。
1作限りでアニメ業界からは一旦は手を引こうと考えてたが、思いなおし、その後何作も脚本を作り続け提案するがことごとく却下。
コクリコ坂でようやくGoサインは出たものの父の目は厳しい。
「あいつには無理だ、やめといた方がいい」父は息子には直接言わずマネージャーの鈴木氏に思いをぶつける。
仕事場でも父は息子のそばには近寄らず、息子も自分の描いてる絵を隠して父の目に触れないようにする。
「何か言われたら自分がぶれてしまうから・・・」
吾朗が主人公のキャラクターで行き詰まってる時、父は1枚の絵を描き鈴木氏を通して渡す。
そのたった1枚の絵は息子の迷いを見透かしたもので、行き詰まりから救い出してあげる事になる。
すごい!さすがの絵。
アニメの試写会が終わり「吾朗さんは成長しましたよ、スタッフの皆が認めています」「そうか・・・」(表情はもくずさないでいるが内心うれしくてしょうがないんでしょう?)
吾朗「まあ、長生きして欲しいですよね・・・」
お互い思いやる気持ちがあっても仕事に関しては厳しくなり、きつい言葉を投げ合ってなるべく顔は会わせていたくない。
そんな親子の例は身近にも結構いらっしゃいます。
私はまだ映画を見ていません。
帰省した娘が言いました。
「お父さん、きっと気に入ると思うよ。宮沢賢治の世界も出てきてたよ」