夜の時刻表

夜、高崎の街を歩いていた。
バスの時刻表を2人の男の人が顔を近づけて見ている。
1人の人は携帯をかざして灯り代わりにしているが、文字のところを指差しながら
「ここだよ、ここ、見えねえな、何て書いてある?わからねえ」とお互いに言い合っている。
自分は足を止めてその様子を見ていたのだが、ちょっと覗き込んでみると離れた所からでも時刻表の数字が見える。おせっかいかもしれないと思いつつ
「1分ですよ、01ってありますから」と言ったら、突然の他人の割り込みに驚いたらしくもあったが、
「1分、7時1分かい?それじゃ8時は?」
「8時は・・・24分ですね」
「へえ、目がいいね」「いや、ありがとう」
「ええ!?良くはないですけど、老眼もありますし・・・」
他人から目がいいね、なんて言われたのは記憶にない。